山里通信 | |
木もれ日だより(2012年11月) | |
【信州は紅葉のきれいな秋です】 この秋、信州は何年ぶりかのきれいな紅葉につつまれています。 北信州では、10月の初旬に奥志賀高原の高地から紅葉が始まり、一ヶ月以上かけて少しずつ里山まで降りてきます。 ここ数年はあまりきれいな紅葉が見られなかったのですが、今年はナナカマドの木の赤い色がひときわ冴え渡る 見事な色合いになりました。 紅葉のきれいな秋はりんごの色づきも良い気がします。晩生種のりんごでは最初になる王林の収穫も始まり、 木もれ日農園は一年の最後の収穫を待つばかりです。 【低農薬栽培のこと】 ネオニコチノイド系の農薬の害が問題になっています。ネオニコチノイドはタバコに含まれるニコチン由来の殺虫剤で、 開発は比較的新しく、人体への影響が少なく昆虫に特化した農薬として、広く使われるようになりました。 例えば家庭用の「コバエがホイホイ」なども、ジノテフランというネオニコチノイド系農薬です。 しかし近年、世界中でミツバチの大量死が報告され、その原因としてネオニコチノイド系殺虫剤の害が強く疑われています。 それ以外にもこの農薬の作物への浸透性や残留性が問題視され、欧米では規制する動きが始まっています。 木もれ日農園では、とりあえず、ネオニコチノイド系の農薬は使わないようにしました。 ただ、それ以外の殺虫剤では、現在は有機リン系が主流です。同じ神経毒である有機リン剤もまた別の問題があり、 薬剤を換えればそれで解決するわけでもありません。 木もれ日農園では、通常では年間で30剤程度を使用する農薬散布を、 13剤というぎりぎりのところまで減らしてりんご栽培をしています(これでもまだまだ多いのですが・・)。 糖分の豊富な果実はただでさえ病害虫の被害を受けやすく、年によっては収穫が半減してしまうこともあります。 近年の農業後継者不足で農園の周囲が荒地になっていけば、さらに被害は増えていきます。 安全な農産物をつくろうと思えば、収穫を迎えるまで農家は逆に「不安」を抱え続ける、という矛盾の中に 現在の農業はあります。こんな問題も、みなさんといっしょに考えていけたらと思います。 【武藤類子さんの講演会】 先月、信州の地で、福島原発事故で被災した武藤類子さんの講演会がありました。 武藤さんは、福島県三春町の山の中で小さな喫茶店を営み、自然の中での暮らしを大切にしながら、 原発に反対する運動を続けてきました。事故後も地元で被災者の支援活動を続けながら、福島現地から全国に、 緊迫したメッセージを送っています。 「毎日、毎日、否応なくせまられる決断。逃げる、逃げない。食べる、食べない。洗濯物を外に干す、干さない。 子どもにマスクをさせる、させない。畑を耕す、耕さない。何かにもの申す、黙る。・・・」 これは事故後に行なわれた全国集会に寄せられたアピールです。現地の張り詰めた空気を伝えてくれるとともに、 私たち一人一人もまた「せまられる決断」の前にいるのだ、ということに気づかせてくれます。 (「福島からあなたへ」(武藤類子・大月書店)もぜひ読んでみて下さい。) 武藤さんと同じように、二本松市では佐々木るりさんが被災者への支援活動をしています。 るりさんは、5人の子どもを育てながら、自宅のお寺で幼稚園を営み、子供を被ばくから守るため、 食品放射能測定、除染、一時避難の支援、内部ひばく検査等に取り組んでいます。今年 は地域の友人たちと、るりさんにりんごを送るつもりです。 【芳美のコラム】 我が家におそらく50年くらい前からある真綿の敷布団。布地もボロボロと痛んできたけれど、 どうしても手放せずにいた。先日友人から布団屋さんを紹介されさっそく相談。 「古い綿でも打ち直せばずっと再生できて、最後は土にもどるんですよ。」といわれた。 最近は安さと軽さに惹かれてついホームセンターで買っていた寝具。古くなると処分に困りゴミに出したりしていた。 出来上がった真綿の敷布団、顔を近づけたらどこかなつかしい匂いがして、あたたかい気持ちになった。(芳美) |
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